Dental Information


Overcoming dental fears & anxiety
The Wisdom Tooth by Wynn H. Okuda, D.M.D.

9話 歯医者ぎらいを克服する 歯が折れていたり痛かったりするのに、我慢できる間は歯科医院に行かないでおこうとか、いざ医院を訪れると、中に入るのを尻込みしてしまう、などという例は良くあることですね。心当たりの方は、恐怖症や不安感が歯の衛生や健康にまで、悪影響を及ぼしていることも考えられます。 起こりもしない悪い事態を想いえがいて恐怖感を抱くよりも、治療によって得られる良い結果の方に心を留めておくことが大事です。苦手なことは避けようとするのが人の常ですが、良い人生を歩むのと同様、歯の健康においても設定した目標に向かって着実に一歩を踏み出すことが、重要なカギになります。不安を克服するプロセスをたどりながら目標を達成するまで積み重ねていく努力こそ、のちのち人生をきりひらく自力になるでしょう。 では、なぜ人によっては、他の人とくらべて極度な恐怖や不安に襲われるのでしょうか。 そういった方が持つ恐怖感の多くは、子供のころに体験した出来事に起因することが多いようです。子供時代に水に溺れるなどの恐怖の体験を持つ場合、不安に直面した際にはそれを克服するために「ファイト・オア・フライト」と呼ばれる一種のパニック症状が起ります。この症状は、急激なアドレナリンの分泌による動悸、息切れや冷や汗などの症状を呈します。 こういった体験者でも、通常は成長の過程で水泳などを通して、水に対する恐怖感を克服するようになるでしょう。しかし、中には海に関連したことに対面するだけでパニック症状が起る例も間々あるようです。また、ある研究結果によると、家族の素行や遺伝もまた、ある種の恐怖症を作り出す隠れた要因となっています。 では「歯科医に恐怖感を持つ人が治療を受けることがいかに重要か」をなぜ私が力説するか、お判りでしょうか? 残念なことに、歯の治療が遅れれば遅れるほど治療方法の選択肢が少なくなり、おまけに治療費もかさんでいきます。虫歯を放っておけば歯の根元の部分までどんどん虫歯が進行していき、やがて歯根にまで達して歯が抜け落ちてしまうかも知れません。さらに歯周病や歯肉炎を未治療のままほおっておくと、歯や、さらにはあごの骨まで失ってしまう結果を招きかねません。 歯科治療の際には、患者さんは聴覚、視覚、臭覚、味覚、触覚をフル動員して、その過程を感じ取っています。歯の治療に恐怖心がある人は不安感が心理を左右して、これらの感覚を必要以上に高ぶらせてしまいます。患者さんが不安のあまり、これからおかれる状況を我慢しきれないと早呑み込みすれば、予約もキャンセルしてしまい、二度と医院に足を運ばないかもしれません。 これらの状況を避けるためには、あなたが特に希望する条件を、事前に歯科医やスタッフに相談することが大事です。さもなければ歯科医側では「あなたに通常の治療方法で対処しても何も問題がない」と思うでしょう。もし思いつく範囲内で歯科医が不安を取り除く手段があるならば、遠慮せずに知らせましょう。患者さんの中には「治療中に歯科医が話し掛けることでリラックスできる」という人もいるのです。 治療中にちょっと休憩がほしいときには手を挙げる、などのサインをあらかじめ決めておくのも良いでしょう。いざ治療が始まっても無力感を感じることもなくなるはずです。また話ができないような状態でも、ペンと紙をお願いしておけば筆談で会話ができ、あなたの不安を直接歯科医に伝えることができます。 また歯科治療の際に感じるストレスを最小限にとどめることも必要です。 (1)治療日にカフェインを摂取しないこと: カフェインには興奮性があり、不安感をあおったり、神経過敏を起こしたりします。この措置は、特にストレスを感じやすい検診のときに効果があります。 (2)治療の時間には余裕をもって: 時間ぎりぎりで遅れそうなどということは避けましょう。急ぐことで血圧が上昇し、ストレス感も増昇しがちです。 (3)待ち時間にするもの、読むものを持参しましょう: 手持ち無沙汰に待つよりもよい気晴らしになるはずです。 ストレスの対象は人さまざまで、ある人にとってはすごく気障りなことでも、他の人にはまったく気にならないということがあります。治療を受ける前に何がいやなのかを自問自答するのも一案です。ドリルの音が気になるようだったら、耳栓やウォークマン、ラジオやカセットプレーヤーを持っていきましょう。麻酔注射がきらい、注射針を見るのがいや、という場合は、治療箇所にコットンなどで局部麻酔をする方法にしてもらうよう、あらかじめ歯科医にお願いしてみるのも良いでしょう。 歯科医と良い関係を保っていければ、タイムリーな治療を受けられるだけでなく、快適に治療を受けることができます。他人の思惑など気にせずに、恐怖感の克服にチャレンジしながらも、理想的な歯科衛生のゴールに向かって着実な一歩を踏み出している自分を誇りに思うでしょう。この道程の行く末には、歯の健康だけでなく、きっとあなた自身の人生にも、自尊心という実りをもたらしてくれるでしょう。





Dental Artistry by Dr. Okuda CopyrightÅ@2001 PBHS Inc. Website Design