Dental Information


When less is better. Tooth removal or restorations
The Wisdom Tooth by Wynn H. Okuda, D.M.D.

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After

6話 歯科のミニマリズム:補綴治療法での抜歯について 歯科医術においてミニマリズムが良しとされるのは、どんな場合でしょうか。 ある人は通院が数回ですむのは良い証拠!と言うかもしれません。しかし、私がここで言いたいのは、歯科医術でのミニマリズムというのは、治療のために要する抜歯が最小限ですむということです。患者の長期にわたる歯の健康に積極的に貢献するより抜本的な治療対策が必要となるまでは、 患者はできるだけ生来の自然な歯「生態歯」を保存する方針で治療を受けることをお勧めします。その方が歯全体の健康にとっても、長く恩恵にあずかることができます。 歯冠修復を例にとれば、抜歯によって治療費用の額に大きな違いが生じるのでしょうか。もちろんです。 たとえば歯に小さな虫歯ができたとします。それを治療する最初のステップとして、いきなり歯を抜いたりブリッジを入れたりすることは先ずありえません。かかりつけの歯科医が初めから抜歯やブリッジをすすめる場合は考えものです。断固として断りましょう。 生態歯保存的な治療方法では、虫歯を取り除いたあとの空洞に小さなつめもの(フィリング)をして治療します。その後同じ歯に再度虫歯ができた場合でも、なるべくその侵食した部分だけを取り除くようにします。最終的に抜歯が必要なのは、虫歯が悪化して神経まで達するようなひどい場合に限ります。現時点で健全な自然の歯をできるだけ保存するような補綴治療法によって、可能な限りの治療の選択肢を将来のためにとっておくことができます。 数年前はクラウン(歯冠)は広範囲にわたる虫歯に対する唯一の治療方法でした。クラウンは歯をカバーし、また強い圧力に耐える耐久性を維持します。しかし残念なことに、クラウンを取り付けるには虫歯にしろ、歯の損傷にしろ、装着条件として歯を5箇所ほど削らなくてはならず、結果としてクラウンの使用によって逆に健康な部分の歯まで削りおとさなくてはいけませんでした。それもひとえに、強さや耐久性が求められるクラウンの素材が金属だったためです。 しかし画期的な技術革新の結果、今日の歯科医療は歯冠修復でも一大進歩を遂げました。クラウン補綴のための生態歯の調整と言えば以前は歯を削ることでしたが、現在は健康な歯をできるだけ残しておくための準備段階へと変化したのがその一例です。また開発研究の成果として、強さと耐久性を求められるクラウンの素材そのものも、金属から、軽くてうすいセラミックへと発達しました。その結果、歯冠修復はクラウンの装着によって生態歯が損傷されることも少なくなりました。1〜2本の歯の修復には、それにかぶせるインレーやアンレーが用いられますが、歯の損傷がひどいときにはクラウンが使われます。他の治療方法での歯科素材同様に、クラウンに使われる素材も、時代とともにより強靱に、より耐久性を持つものに進化しました。 では、なぜ自然な生態歯の抜歯をできるだけ避けたほうが良いのでしょうか。自然歯は強さ、耐久性、周りの歯肉や骨の構造との適合性、とどれをとっても最高条件の理想的な素材です。これらの事実をふまえて、なるべくあなた自身の歯を生かし一生守っていくというのが、歯科のプロフェッショナルとしてのポリシーです。 歯の健康法の主眼は、虫歯や歯肉の病気を最小限にとどめること、また自分でできる範囲内での歯の健康管理を実行することです。ブラッシングやフロス、専門家による歯の表面のクリーニングや、定期検診などの予防法は、歯の健康にとって非常に重要な役目を果たすので、定期検診の際の歯科衛生学の徹底が強く標榜されているのです。しかしながら生まれもった資質や遺伝もまた、個人の口腔衛生を左右するのも事実です。そのためにも、患者ひとりひとりの症状にマッチした治療法の処方が必要です。 この生態歯保存的補綴法の長所は、一度虫歯になってしまった生態歯でも、それ以上の損失を防ぐことが可能なことです。自然な歯をできるだけ長持ちするように、患者自身が日頃から歯の健康を心掛けることが、生態歯を一生守っていくことにつながります。 例えば、根管治療が必要な患者の場合「抜歯しようとしまいと、治療結果には大して差がない」と思われるかもしれません。しかしたとえ根管を治療するケースでも、そこに生態歯が残っていれば、骨や歯肉組織の再組成を刺激して、それらが健康な状態に復帰するのに一役買っているのです。もし歯がそこに残っていなければ、骨や歯茎の位置が陥没し周囲の骨や歯茎にまで悪影響を及ぼしてしまいます。噛んだ際に抜いた歯と対向する側の歯が浮き上がってしまい、抜歯した周辺の歯もその空洞を埋めるように傾いてゆきます。その結果、歯がうまく噛み合わない「不咬合」という状態を招きます。抜歯は、一見虫歯を撤去する抜本対策のように思えますが、現実には御都合主義の便宜的手段にすぎず、長い目で見れば患者の歯総体の健康を害してしまう危険性を秘めています。 近年とみに著しい進歩をとげた歯科医療技術のおかげで、患者のみなさんは、最新の歯冠補綴法によって、抜歯部分を最小限度に抑えることができます。できるかぎり数多くの生態歯を保持することで、一生自分の歯を保持していけるようになるはずです。抜歯の本数を最小限にとどめ、より多くの生態歯を保つことができれば、将来確実に歯の健康によい結果をもたらすでしょう。





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